きりとり日記

時計の針はすすむ。



カチ、カチ、カチ。



その、カチ、カチ、カチ、という音に合わせて
私はその一瞬を切り取ろうとする。



でも、できない。



いや、できている。



できているけれど、ただ、それ自体にはあまり意味がないだけだ。



意味はないけど、私は切り取る。



大きな海で、それらが泳ぐとき、



それらの断片が、意味を持つかどうかは、



私は、よく分からないのだけれど、



ただ、何かのしるしとして、



別の海の匂いを教えたりすることはあるんだろう。



ひどく曖昧に、だけれど。



私はそんな断片と断片をつなぎ、



私という断片と断片をつなぎ、



断片の上に積み上げてみたり、



断片の下にぶら下げてみたりしていた。



もう、わけはわからないけれど、



意味はないけれど、



そんなものをぐちゃぐちゃに壊して、



平面上に断片を並べて、



断片を持ち上げてみたり、地下に埋めたりしたりもしていた。



どうにしても、



フォークロアの意味を



いつか分かりたいと



念じながら



自分の断片を海にふわっと流せば、



断片は断片として生きていく。



それは、私ではなく、



私のものでもない。



そして、私自身は、



構造のない気持ち悪さのなかを



廻りたくはないのに、



そこにある不完全の枠に



近づいたり離れたり



そうしてずうっと動き回っている。



パタパタ。



カチカチ。



時計だけは進み、



私たちは、動く。



海の中の分子のように。
土の粒子のように。



It don't mean a thing, if it ain't got that swing!