眠れぬ夜
眠れぬ夜は、窓を開けて、深く息を吸って、などと思うが、
それぞれの事情からそれぞれの家で、窓は開けられず、
深く激しい雨だけが降り注いで、
などということは、私が言うべきことではないのだろう。
私はいずれ眠るのだから、あなたは自分のことだけに気を遣って。
でも、そう書いてみても、それは本心ではないでしょ?と誰かに言われるのだろう。
否定はしない。
でも、それはライブな感覚ではないから、見逃してやってはくれないか、と思う。
私は眠り、私以外の誰かが、まだそんなことを語り続けている。
くしゃっとした笑顔を心の上ですべらせながら。
4年後の空っぽを思いながら。
その横で、リアルな私は、私以外の誰かを黙らせたくて、にこっと笑う。
眠れぬことにも、少し幸せを感じながら。
熱い歓声に、心を紛らせながら。