あれから10年.....

あれから10年が経った。
彼女の10年間、私の10年間。










春は桜が散り、秋は銀杏が散り、冬は雪が舞う。
そして、夏の頃には、私たちは花火を散らす。
橋の向こうで、花火は、ぱーっと咲いて、ぱーっと消えていく。
消え行くものを目で追いながら、少しだけ人生を重ねてみる。
私もどこかの空は舞う。
そして消える。



ふと、彼女のことを思い出す。
今にして思えば、彼女もどこかを舞いたかったのだろう、と思う。
私のこころでもなく、あの場所でもなく。
あの頃、私にも彼女にも、向かうべき場所はあったのだろう。
だけど、二人とも向かわなかったね。
それは逃げであったと、今の私は強く思う。



あれから10年、期を同じくして、2人とも逃げ場を塞がれた。
感じがするのだけれど。











私はね、逃げ場を塞がれて、それではじめて
ようやく事実に向き合おうとしています。
そして、先週、みどりに染まる空を見上げながら、
その想いを新たにしました。



金色の葉が舞う秋の頃、お互い笑顔で会えたら、いいね。
あの坂道で。