ちっぽけなわたし

のだめを見ながらラフマニノフを聴いていたら、歌をうたっているときと同じ感覚が、ふっと襲ってきた。
地球中の森の木に紛れて、ちっちゃなちっちゃなわたしがいる。
あまりにちいさくて、無力で、あばれてもどうにもならなくて。
ほんとうにちいさくて。
そして、音のなだれの中で、存在はどんどんちいさくなる。
ひとつの音から、波はいくつもいくつも、いくつぶも、
数え切れず、捉えきれず、感覚を圧倒する。



この感覚が、いつかから、自分を救ってくれているような気がする。
昔は、一瞬に込められた音の豊かさ、音の多さ、密度の濃さに気付くこともなく、私の泣き声のほうが大きいとばかり思っていたけれど。
大きさでは勝てないその濃さは、気付けば、どんな小さなものさえも落とすことのないセーフティネットとなっていて、どんなに拡がっても何も落ちることがない安心感に、私は涙をこぼすことなく、思い切り伸びをしていた。等身大の伸び。



何でもいいんだろうけれど、そういう何かがあればいいのだろうと思う。何でもいいから。そうしたら、安心してられる。
ただ、私自身が未だにそういう存在になれないのは、問題だと思うし、まだまだ精進が足りないのです。頑張ろう。