but not for me

ジャズの歌はたくさんあるけれど、ときどき、あぁーいまこれを聴かなきゃと突然ピンとくる曲があったりする。でも、そのピンとくる曲には意味があるんだなぁと、3回続けて思うことがあったので、とりあえずメモ。(これが1曲目)



いつものことながら村上春樹さんの話になるが、わたしは彼の本を結構繰り返し読んでいて、特に好きな小説は何度読んだか自分でもよく分からない。
そんなふうに繰り返し読んでいた中の一冊に「国境の南、太陽の西」という本があったのだが、今年に入ってから、その本だけ突然”生理的に”受け付けなくなり、読めなくなった。
なぜ読めないのかといわれても良く分からない日々が5ヶ月近く続いたのだが、最近、ふと、私はこの本に書かれているある種のテーマにもう触れたくないと思っていたのだ、ということに気づいた。
そのテーマというのは、簡単に言うと、運命の恋、みたいなもの。
この本をはじめて読んだときから、私は運命の恋に興味を持つようになった。
でも、興味があるのと、実際にそれをしたいかどうかはまったく別の問題。のはずだけれど、最初にこれを読んだとき、私はまだ恋すらしていないお年頃なので、まぁその辺をちゃんと区別して認識できていたかといわれると、できてなかったと思う。
で、そんなふうに認識が混濁したまま10年以上も生きていて、私自身の性格から言えば、実際に運命の恋をしようなんてことを思える人間ではなかったことは本当に災いした。ということに、この前、駅からの帰り道でふと気づいてしまったわけですが、もう今さらどうしようもない。
無意識のほうは、意識よりちょっと前にこの混濁状況にうんざりしはじめて、この本を避けるように仕向けていたのだと思われます。
でも、こういうことが分かった後もまだ読む気にはなれない。
なんとなく、メモリーというものはそんなに自己都合で簡単に消えてくれるものではなく、でも、時代とか行動とかっていうのはどんどん先に進んでいくからかな、、、とか思ったりしています。
「but not for me」の一節みたいに。

Although I can't dismiss the mem'ry of his kiss,
I guess he's not for me.

余談だが、この「but not for me」という曲がなぜ新幹線のCMに使われていたのだろう。確かに、新幹線がすぅーっとホームから去っていくイメージを想像できないわけでもないけど、メッセージと歌詞があわなさすぎ。と思ってたら、気づけばCMのほうは歌詞が変えられている。うーん。

when ev'ry happy plot ends with the marriage knot,
and there's no knot for me.

もとのほうの詞は、最後にはこんなふうにまでなっちゃうのに。。。それでも曲の雰囲気が良いから使ったのだろうか。。。(それにしてもこの曲、ここまでいじけなくても。。。というか、ここまで書かれると、心の中ではfate is kindと思っているに違わない。)