冷たいミルク








自分の生って何なのだろう、と、ふと考える。

あるニュースが流れるたびに「あなたがここにいるのは本当に偶然よ」と言われてきたけれど、今になって、その重みに少しずつ気付きはじめたような気がする。いささか、遅すぎたかもしれない。





この東京という街で、私は、こんにゃくみたいに生きている。不思議なことに、めまぐるしい情報の流れのなかで、日常はどんな場所よりもゆっくりと過ぎていく。まるで何も起きていないかのように。


こんにゃくにとってはそれもさしておかしいことではないのだけれど、ただ、気がかりなのは、そんな日常によく見えない違和感がついてまわること。たぶん、何かものすごく重大なことをどこかに置き忘れてきてしまっているのだろう。それって一体、何?





バトンは、落としたら拾わなければなるまい。重力に負けたと言うにも、それなりの理由は要るだろう。残念ながら、私には、まだその理由を手に入れる資格がないと思う。